
油性色鉛筆は様々メーカー各社がいろいろなものを出しているので選ぶのは難しいのですが、まずは試してみて自分にあったものを選ぶのが一番かと思います。
色鉛筆の場合、混色が難しいため、ある程度の色数を揃える必要があります。最初から60色以上の大きなセットを買うことも選択肢の一つですが、一般的には36色くらいのセットから始めるのを勧められることが多いようです。確かに36色くらいなら、欲しい色を買い足しながら他社のものを比較できたりできるので、合理的かと思います。
一方、レビューなどを参考に大きなセットを買って始めることも一つの手で、大きな買い物でリスクがありますが、メリットもあります。上達するにつれ、後々必要になってくる情報を体系的にわかりやすい形で得られることがそれかと思います。自分がどの色を最もよく使うのかとか、混色の具合、耐光性のテストなど、一元的にできてしまうのは、大きな時短ですし大きなメリットです。うまくいくなら絵を描くことだけに集中できる始めかたかと思います。
逆に12本くらいから初めて気に入ったメーカーを選んでいく方法もありで、私はそうして来たようです。大変な労力が要りますが、絵が好きなら苦にもならないかと思います。この選び方のメリットとしては素材や色鉛筆の個性などへの理解が深くなり、自分のオリジナルの組み合わせが初期の段階からできてくるので、これはこれで楽しい方法でもあります。

上の写真は油性色鉛筆で世界的に有名な製品の一つ、ファーバーカステル (Faber Castell) のポリクロモスですが、私はこれをメインに使うことが多いです。発色や色の乗りなどがとても良く、固めの芯で減りも遅めですが、重ね塗りや混色もしやすいという素晴らしい色鉛筆です。色鉛筆にはオイルベースとワックスベースのものがあるのですが (オイルとワックス成分の割合の違いらしい)、これはオイルベースの代表格かと思います。メーカーによる耐光性のテストがちゃんとされていて各色鉛筆に3段階で刻印されています。
色々試してきて、油性色鉛筆は ポリクロモス でいいかということに一旦なって、一度は120色のセットを買ってしまったほど良い色鉛筆です。(後日、他を使えなくなることが自分的に嫌で手放しましたが、、) 少し値段がはりますが、誰にでもお勧めできる色鉛筆です。

ホルベインのアーチスト色鉛筆も柔らかめの素晴らしい色鉛筆と思います。歴史のある画材メーカーならではの高品質な色鉛筆で、発色や耐光性などすごく研究されていて、まさに専門家用と呼ぶにふさわしい色鉛筆です。人物や自然のものなどを描いていると意外と必要になるグレートーンやパステル系の色も豊富に揃えているのもさすがだなと思います。これも耐光性のテストがされていて各色鉛筆に3段階で刻印されています。
日本のメーカーなので画材店などで手に入れやすくて、価格も輸入ものよりは抑えめです。品質的にホルベインはすでに世界的なメーカーですので、海外では結構高価に売られています。
公式サイトなどでワックスベースかオイルベースかの記載が見つけられなかったのですが、一般的には柔らかめの特徴からワックスベースといわれているようです。オイルとワックスの練り合わせた割合でどう呼ばれるからしいので、あまり呼びかた自体に意味はないかもしれません。ターペンタインなどの溶剤が使えたり使えなかったり、成分は各社違っているので、私は目安程度に思っています。 ホルベイン公式サイトパンフレットの英語表記には Oil Based とあります。

上の写真は三菱 ユニカラー 色鉛筆 です。あらかじめ言っておくと、私は好きで愛用しています。ただ結構くせの強い色鉛筆で、仕事に使うなら色々手順を踏んだ方が良いように思います。絵を描くことだけを考えると、厳選された素材が使われていて発色も鮮やかなユニカラーは良い選択だと思います。
芯は硬めでかなり精緻な描き込みに向いていて、透明感のある鮮やかな発色はあまり他には無いなという印象があります。反面、重ね塗りには向かなくて、少し薄めに色が出るので、私の場合は普通の鉛筆のように立てて、力を加えやすくして、線画的にというか、ハッチング、点描などを多用して使うようにしています。
硬くて重ね塗りに向かないというのは、私にとっては特にデメリットでもないので、描き方、使い所の工夫で対処できるのですが、私はそのまま仕事に使えないなと思う理由があります。耐光性の問題です。
ユニカラー は他の有名メーカーのようには耐光性のテストを公開していなくて、しかも耐光性の低いものがけっこう紛れているので、自分でテストを行って使えるものと使えないものを選り分けなくてはなりません。
ファーバーカステルやホルベインなどの有名ブランドのセットにも耐光性の低い色鉛筆は入っていますが、ちゃんと「星一つ」のように表示されていて、手に取った時点で使うかどうかすぐに判断できます。
私は三菱 ユニカラー の好きなので描き心地は好きなので、一年かそれ以上かけて耐光性のテストを自分で行いました。上の写真のものは実用十分と判断したものを撮影したもので、だいぶ省いた感じはします。ピンクや紫はほぼ無く、一部のオレンジや青も使わない方が良いと判断して省きました。上の写真のものは晴れて自分の制作に組み込んでいます。
街中でも良く売られていて比較的安価で手に入れやすく、作りがとても良い色鉛筆なので、これからも使って行こうと思っています。
他にもカランダッシュやダーウェント、スタビロなど試したい良いものがたくさんありますが、すべて試しているわけにもいかないので、単色でも比較的日本で手に入れやすい上の3種類を組み合わせて油性色鉛筆のセットにしています。
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